ブラックバイト問題について考えるワークショップ
-労働ルールを学び、身を守ろう
過酷な環境や条件で労働を強いられるアルバイトは、「ブラックバイト」と呼ばれます。このブラックバイト問題について考えるワークショップが、7月16日、人文社会科学部の松井良和講師が担当する労働法Ⅱの授業内で開かれました。労働法ゼミ所属の学生の発案で実現しました。ワークショップでは、学生らが被害に遭った経験を報告し、被害に遭わないため身につけておきたい労働ルールを学びました。日本労働組合総連合会(連合)と協力し、被害に遭ってしまった際の相談方法なども伝えました。
「(経営者が)体を壊してまで働いている姿を見ていたし、バイトとも仲良くしていました。いつか支払われるだろうと信じていました」
こう話すのは、バイト先で給与未払いの被害に遭った学生です。始めは、翌月15日には支払われていた給与が、財政状況の悪化により翌月末払いになり、ついには一切支払われなくなってしまったと言います。最終的に、その店は一度閉業することになり、アルバイトは全員解雇。その店では10人以上の澳门英皇娱乐_澳门赌博现金网-官网の学生が働いており、多い人で30万円、全員合わせれば300万円ほどの給与未払いがあることが分かりました。まだ未払い分の支払いの目途はたっていません。
ワークショップには同じ店で被害に遭った学生が複数参加し、「(未払い分給与は)半分諦めている」「怒りはあったが、今は払ってくれるなら何でも良い」「(情報が錯綜し)何が正しいのか分からない」など胸の内を率直に語りました。給与未払いの問題については、連合の地域組織である連合茨城の狩谷祐一事務局長より、「解決に向けて一緒に対策を考えていきましょう」と労働組合の立場から相談にのる考えを示しました。
ワークショップには、「日本一学校を回る芸人」の異名を持ち、ハラスメントや労働ルールに関する企業向けの研修活動などを行っているお笑い芸人「オシエルズ」の野村真之介さんも参加しました。野村さんも、下積み時代にさまざまなアルバイトを行う中で、ブラックバイト問題に直面しました。研修期間が約1年半続き、その間安い時給で働かされていたのです。ある日、同期に「なんでずっと研修してるの?3週間で終わるんだよ」と言われ、搾取に気付きました。課されたノルマを達成できず給与を減らされたことや、辞めようとして「今やめたら絶対芸人になれないよ」と言われたこともあります。野村さんは「こういうもんか、と思ってしまっていた。そこに疑問を持って人に話すこと、同期など横のつながりを持つことが大切」と振り返りました。
こうした現状に、松井講師は、「『おかしい』と思っても言い出せない、そもそもおかしいと気付けないこともある」とし、「違和感に気付くためにも、ワークルールの知識が必要」と話しました。そして、上記以外に学生から報告があった事例として、
?タイムカードを15分単位で管理された
?店長が終始不機嫌そうにしており、「ぶち殺すぞ」「ふざけるな」「調子に乗るな」と暴言を吐かれた
?客が少なかったり、予約のキャンセルが出たりした際に、早上がりやシフト減らしを強要された
?店のお皿を壊した際に罰金を取られた
?着替え時間が労働時間に含まれていなかった
などを紹介しました。これらはいずれも、労働基準法や最高裁判決に反しているか、パワーハラスメントにあたるといいます。
連合の春田雄一運動企画局長も、若い頃に苦労した経験があります。当時は労働ルールを意識したことはなく、サービス残業や休日出勤が「法律違反だなんて考えてもいなかった」そうです。こうした自身の経験を踏まえ、現在は労働ルールの理解促進に力を入れています。ワークショップでは、連合が推進する「ワークルール検定(WR検定)」の例題を出題。また、困った際の相談窓口として、労働なんでも相談ホットラインを紹介しました。
最後は連合の公式キャラクター「ユニオニオン」が、希望者との記念撮影に応じました。働き方に疑問を持ったら、身近な人にぜひ相談を!